パワハラ、モラハラ相談はハローワーク?慰謝料請求は可能?

パワハラ、モラハラ相談はハローワークで良いの?

パワハラで悩んでいるときはどこで相談すればいいのでしょうか。

結論から申し上げますと、各都道府県労働局にある「総合労働相談コーナー」ではパワハラの相談ができます。
窓口ではパワハラ、モラハラだけでなく、解雇や雇止め、賃金の引き下げ、募集・採用など、あらゆる労働問題を扱っており、それぞれ専門の相談員が話を聞いてくれます。

相談者のプライバシーを守り、相談したことや相談した内容は誰にも言いません。

全国の労働局や労働基準監督署と連携しているので、もし会社が法律違反をしていた場合は、監督署から指導が入る場合もあります。

労働相談コーナーだけでは解決できない

実は、労働相談窓口で相談するだけではパワハラ問題を解決することはできません。

窓口では相談者がどうしたいかを聞き、それに沿った解決策を相談員が一緒に考えます。

あくまで、相談コーナーでは解決の方向を示したり、会社との話し合いをサポートすることしかできません。

労働相談コーナーでできること

労働相談コーナーでできることは、以下に挙げる3つです。

  1. 情報提供
  2. 助言・指導
  3. あっせんの案内

どんなことをしてくれるのか、詳しく見ていきましょう。

①情報提供

労働相談コーナーでは、パワハラに関する法律のほか、過去の裁判例を教えてくれたり、労働局が行っている助言・指導制度、あっせん制度について説明してくれます。

「これってパワハラかな?」と思う人や「パワハラを止めてほしいが、どうしたらいいかわからない」という人も、まずは相談してみましょう。

②助言・指導

労働局が会社と相談者双方の話を聞き、争いの問題点を指摘したり、解決法を示してくれます。

話し合いを促し、できるだけ当事者間で解決できるよう労働局がサポートするというものです。

とはいえ、もし会社や上司が労働者に対して違法な取扱いをしていたことがわかった場合には、きちんと指導をしてくれます。

③あっせんの案内

労働局の助言・指導があっても問題が解決できない場合は、あっせん制度を案内してくれます。

あっせんとは、会社と相談者の間に社労士などの専門家が入って話し合いを進め、和解へ導く制度です。

費用は無料で、あっせん事例の8割超がおおよそ2ヶ月で解決します。
裁判をするよりもはるかに少ない負担で解決が目指せる制度です。
当事者だけではどうしても問題が解決できない場合に行います。

しかし、労働相談コーナーだけではパワハラ問題が解決しない場合もあります。
そんなときは、ハローワーク以外のパワハラ相談窓口を利用してみましょう。

ハローワーク以外のパワハラ相談窓口

ハローワーク以外にもパワハラ相談を受ける窓口はいくつかあります。
相談したい内容や相手に合わせて、選びましょう。

みんなの人権110番

差別や虐待、パワハラなど様々な人権問題について相談を受け付けています。

電話は最寄りの法務局につながります。法務局職員または人権擁護委員が相談を受けます。インターネットや法務局の窓口で面接による相談も。

人権侵害の疑いがあれば、救済措置を行います。人権について詳しい人に相談したいときにおすすめです。

法テラス

問い合わせ内容に応じて、解決に必要な法知識や、相談機関・団体の情報を無料で提供してくれます。
「パワハラ被害に遭ったがどこに相談していいかわからない」という人におすすめです。

経済的に余裕がなく、どこにも相談できない人にも無料で法律相談を行ってくれ、必要な場合は弁護士費用の建て替えをしてくれる場合も。

「弁護士に相談したいけれど、費用が心配」という人にも使いやすいでしょう。

こころの耳

電話・SNS・メールから匿名の悩み相談のほか、セルフストレスチェックができます。
パワハラによる心身の負担が心配な方は診断してみてはいかがでしょうか。

心を病んで働けなくなってしまった人の生活保障制度や、職場復帰をする人のサポート窓口も案内しています。

社労士への相談

労働問題の専門家です。
パワハラ問題を話し合いによる和解解決へ導きます。
社労士は会社と労働者双方の意見を聞いて、公正公平な立場で和解案を提案してくれます。

また、会社が違法行為をしていた場合は、改善提案をしてくれることも。
「訴訟まではしたくない」「話し合いで解決したい」という人におすすめです。

弁護士事務所への相談

法律の専門家です。
パワハラを法的に解決するための助言やサポートを受けられます。
労働者の代理人として交渉をしてくれるので、会社側が真剣に労働者の訴えに耳を貸してくれるようになります。

また、会社との話し合いや交渉では解決できないため、「裁判ではっきりさせたい」という人にもおすすめです。

労働組合への相談

労働環境の維持・改善を目的に、労働者が作る団体です。
立場の弱い労働者が団結することで、経営者と対等な立場で交渉できます。

労働組合が交渉を求めた場合、会社がこれを拒むことはできません。労働組合ならパワハラ問題にも労働者目線で力になってくれるでしょう。

労働組合には同じ会社の労働者が集まって作る「企業別組合」と、いくつかの会社の労働者が集まって作る「合同労働組合(ユニオン)」の2つがあります。

パワハラの相談をしたい人にはユニオンがおすすめです。

ユニオンがおすすめの理由

ユニオンをおすすめする理由は2つあります。
ひとつは、社内の人に秘密で相談ができる点です。

企業別組合では、同じ会社に勤めている組合員に相談をすることになるので、相談内容が知られてしまう可能性があります。
ユニオンは様々な会社の労働者が集まっているので、同じ会社の人に知られる心配がありません。

もうひとつの理由は、ユニオンが会社から独立した組織である点です。

最近では労働組合といっても、ほとんど活動していなかったり、交渉を全くせず会社の言うことをきく「御用労働組合」となっていることもあります。

その点、ユニオンは会社から独立した組織なので、しがらみや癒着もなく会社と対等な立場で交渉ができます。

また、普通の労働組合であれば年会費や組合会費がかかりますが、ねこの手ユニオンなら無料でパワハラの相談ができます。

パワハラに対する慰謝料請求は可能?

パワハラは被害者の心や体に大きなダメージを与えます。
仕事の能率が下がったり、不眠などの体調不良やうつ病を引き起こすことも。
もしも働けなくなってしまったら、経済的にも大変なダメージです。

パワハラで精神的な苦痛を受け、仕事やお金を失ってしまった場合、パワハラ加害者や会社に対して慰謝料を請求することができます。

慰謝料請求には証拠が必要

慰謝料を請求するためには、まずパワハラがあったという事実を証明しなくてはいけません。

心身ともに疲れ切っている被害者には酷なことですが、証拠がなくては裁判で「パワハラがあった」と判断してもらえないからです。

パワハラを証明する証拠とは、例えば以下のようなものです。

  1. パワハラ行為の録音や録画
    特に音声は大事!!
  2. 被害を記録したメモや日誌
  3. メール、チャットの履歴や写真
  4. 会社の相談窓口、上司などに相談した記録
  5. パワハラによって負ったダメージを証明する医師の診断書

以上に挙げた証拠はできるだけ事前に用意しておき、労働局や弁護士事務所へ相談する際に提出できると良いでしょう。

パワハラ行為がどの程度の期間、どんな風に行われていたのかが分かれば、会社との話し合いや交渉もしやすくなります。

慰謝料の相場

パワハラの慰謝料相場は50~100万円と言われています。
被害者が受けた苦痛や損失と比べて、安いと感じるかもいるかもしれません。

もし、パワハラが労災認定されれば慰謝料に加えて、治療費や休業補償が受けられる場合もあります。

パワハラが労災に当たる可能性がないか、労働局または弁護士に相談してみると良いでしょう。

うつ病になってしまったときの休職、転職の記事もアップしてますので、参考にしてください。

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