パワハラ(パワーハラスメント)で悩んでいる人は多いのではないでしょうか?
上司が理不尽、職場環境がおかしい。会社に行きたいくないといった悩みがあると思います。
総合労働相談コーナーに寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、平成30年度に過去最高の82,787件を記録しており、パワハラはどこの会社でも起こりうる身近な問題だと言えます。

引用元:厚生労働省|平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況
パワハラの6つの分類と具体例
パワハラには、以下に挙げる6つの分類があるとされています。パワハラの種類を確認し、もし自分や周囲が被害に遭っているのであれば対策を考えましょう。
身体的な攻撃
殴る、蹴る、叩くなど、直接的な暴力が該当します。また、テレアポ業務など座ってできる仕事を立ったままやらせる、部屋に隔離し反省文を書かせるなど、身体的な制限をすることもパワハラといって差し支えないでしょう。
精神的な攻撃
乱暴な言葉で罵倒したり、わざと人目のある場所で叱責したりするなどの精神的な攻撃もパワハラにあたります。「こんなに使えない人だとは思わなかった」「何のために会社に来ているの?」など、口調自体は穏やかでも本人の存在や人格を否定するような言い方も、パワハラと判断される可能性が高いです。
人間関係からの切り離し
職場の人間関係から個人を切り離し、孤立させようとする行為もパワハラの一種です。業務の円滑な遂行には周囲とのコミュニケーションも大切であるため、孤立させられると仕事に支障が出てくる可能性があります。部署のメンバーや社員全員が集まる会にわざと呼ばない、1人だけ離れた席で仕事をさせるなどもパワハラになる恐れがあります。
過大な要求
過大な要求とは、その人のキャパシティを超えた業務内容や仕事量を押し付ける行為です。長期間に渡って肉体的な疲労や苦痛を伴ったり、業務と関係のない作業をさせたりすることも過度な要求にあたります。
過小な要求
過小な要求とは、本人の能力から考えて質の低い業務しか与えない行為です。実力や実績があるにも関わらず、雑用など誰にでもできる仕事だけをやらせ続けることは社員の自尊心を傷つけるでしょう。
個の侵害
先輩や上司という立場を利用して、社員のプライベートを侵害するのもパワハラといえます。休日にも関わらず「上司命令だ」といって呼び出す、プライベートを無理やり聞き出そうとすることなどは問題行動です。
パワハラの対策方法
ここでは、パワハラの対策方法について紹介します。パワハラを受けたときはどのように対処すれば良いのか、具体的な対策を確認していきましょう。
証拠を残す
パワハラを受けた際にまずやっておきたい対策は、被害を受けた証拠を残すことです。証拠があると窓口に相談する際に説得力が出ますし、具体的なアドバイスを受けやすくなります。仮に被害が甚大で損害賠償請求するときにも、証拠が必要です。損害賠償請求は裁判の結果によっては慰謝料が受け取れる場合もあり、パワハラの悪化や再発を防げるでしょう。
一方で、損害賠償請求をすると、今の職場に居づらくなるというデメリットもあります。会社を相手に裁判を起こしたと分かれば、転職活動で不利になる可能性もゼロではありません。裁判を考えているのであれば、リスクも考慮したうえで一度弁護士に相談することをおすすめします。
証拠を残すには、ICレコーダーで音声を記録したり、パワハラを受けた内容をノートに記録したりしましょう。その際は、パワハラを受けた場所と時間、相手、具体的な内容、目撃していた人などを記載します。パワハラが原因で通院している人は、診断書も手元に置いておきましょう。
社内の相談窓口を利用する
パワハラ問題を早期に解決したいなら、労働組合などが設置している会社の窓口に相談してみてください。ただし、上司が窓口担当になっている、社内で相談したくないといった場合は、外部に相談するのが良いでしょう。
外部の機関に相談する
社外の相談先としては、全国の労働局に設置されている「総合労働相談コーナー」や、法テラスのコールセンター、厚生労働省が委託事業として行っている「労働条件相談ほっとライン」、法務省が設置する「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」などがあります。自分1人でどう対応して良いか分からないときは、第三者のアドバイスを受けて、今後の方針や対策を決めるのが良いでしょう。
転職を検討する
転職理由での注意点
では、パワハラを受けて退職した場合、転職活動時の面接で、「前の会社はパワハラを受けて辞めました」と正直に話すべきでしょうか。
結論からいうと、パワハラを直接的な退職理由として話すと、面接官からネガティブな評価を受ける可能性があります。
実際の状況を知らない面接官の立場からすると、同情はする一方で「あなたにも何か問題があったのでは?」「うちもすぐに辞めるのでは?」と懸念する可能性があります。
パワハラが退職理由だったことを積極的に話す必要はないと考えた方が良いでしょう。
しかし、面接官の方から「一流企業で待遇も良かった会社を辞められたのは、よほどの理由があったのではないですか?」など追及を受ける場合もあります。
やむを得ずパワハラについて話さざるを得ない状況となった場合は、ただパワハラを受けたことを話すのではなく、前の会社でパワハラを解消するために自分が行った努力を説明し、それでも効果がなかったことをしっかり伝えることが大事です。
面接官に「それならば退職するのも無理はないですね」と納得してもらえれば、パワハラを理由に退職したことがマイナス要素になることはありません。
また、「御社に勤務後は、上司や同僚との接し方をこのようにしていきたい」など、自分自身の改善点もアピールすると、より印象はよくなるでしょう。
転職理由を話すときの注意点
ポジティブな理由で会社を退職するケースもありますが、少なからず不満や不足を感じたことがきっかけになっているのではないでしょうか。
しかし、転職活動時、面接官に対して正直にそのネガティブな理由を話してしまうと、「うちの会社も同じ理由で辞めるのではないか」という印象を与える恐れがあります。
意図的な嘘をつくことは厳禁ですが、退職理由は面接官にポジティブな印象を与えるように答えるのが無難です。
「将来のことを考えて」、「自分のスキルを向上させたいから」、「キャリアアップを図りたいから」といった理由であれば、就職後も努力し続けてくれるとの印象を面接官に与えます。
またパワハラ等が退職理由であっても、前の会社で身に付けた経験や技術があるはずです。そのことを十分にアピールしつつ、「前の会社で働き続けても、思い通りのキャリアパスが期待できない」と話すと、転職理由をポジティブに受け止めてくれるでしょう。
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